位相空間論による素数の無限性証明

素数が無限個存在すると仮定します. 文字の種類は有限なので, 鳩ノ巣原理により $20$ 字以下の定義文を持たない素数が存在し, その最小のものを $p$ とおきます. このとき $p$ は「$20$ 字以下の定義文を持たない最小の素数」という $20$ 字の定義文を持つので矛盾します. よって素数は有限個です.

……といういつもの Richard の逆説はさておき, 1955年に Hillel Furstenberg が学部生のときに提出した位相空間論を用いた証明は教育的でありながら興味深いものとなっております. 何が興味深いかといいますと, まさにエラトステネスの篩をイメージしたような証明方法になっているのです. イメージはあくまでもイメージにすぎませんが, インターネット上で見つかる日本語の証明はいまいち整理されていないように思えましたので, 自分なりに筋道を良くしました.


任意の $a\in\mathbf{Z}\setminus\lbrace 0\rbrace$, $b\in\mathbf{Z}$ に対する $a\mathbf{Z}+b$ が開基*1となるような位相を $\mathbf{Z}$ に入れる.

補題1.$a\mathbf{Z}+b$ は閉集合でもある.
証明.$$a\mathbf{Z}+b=\mathbf{Z}\setminus\left(\bigcup ^ {a-1} _ {i=1} a\mathbf{Z}+b+i\right)$$
定理2.素数は無限個存在する.
証明. $$\mathbf{Z}\setminus\lbrace\pm1\rbrace=\bigcup_{p\colon\text{素数}} p\mathbf{Z}$$

左辺は有限集合 $\lbrace\pm1\rbrace$ の補集合であるから(空集合でない有限集合はこの位相では開集合でないので)閉集合ではない. 一方で右辺は閉集合の合併である.

閉集合の合併集合が閉集合でない状況は無限個の合併をとっている場合にしか起き得ない.

*1:位相空間 $X$ の開集合からなる集合 $\mathcal{B}$ が開基であるとは, $X$ の任意の開集合が $\mathcal{B}$ の元の合併で書けることをいう.