実質2日ぐらいで読んでしまったので、これはラノベと言ってよいと思います。各論は概ね知っていたことを DSM-5 に沿って説明しているだけなので早く読めたというのもありますが、総論も見どころのほとんどが第1章に集約されていたように感じます。ただし、決して他の内容がダメだというわけではなく、単純に知っている人は知っていることが多かったというだけです。
第1章は素晴らしい内容です。このたった23ページに何が書かれているのか、目次だけでも(一部省略して)引用してみましょう。
I 精神医学とは何か
A 精神科は他の診療科とは異なるのか?
B 精神医学は医学か
C 精神医学は心理学か
D 精神医学は科学か
E 結局,精神医学とは何か
II 正常と異常
III 精神医学の方法論
IV 精神医学の歴史
V 精神疾患の分類と診断
本当に全部面白いのですが、特にこの I が素晴らしい。こういう議論はすでに精神医学の哲学で行われているのかもしれませんが、それでも医学書がこのレベルの議論から始まるのは凄い。
素人が知識体系を整理するのには非常に有用な一冊でしたので、これを読んだ後はさっそく各論(自分の場合は計算論的精神医学と精神医学の哲学)に入っていくことができるでしょう。精神医学に興味があるなら第1章だけでも一読の価値アリですよ!
追記:第7版には心理検査の図例が載っていて非常に興味深かったのですが、第8版では消えていました。