数学
A.グロタンディエック 著 ほか『現代に生きる科学者の責務』,天満堂書店,1975. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12591653 (参照 2024-08-12) 公開範囲は「国立国会図書館内/図書館・個人送信限定」です。
アレクサンドル・グロタンディーク 著 ほか『埋葬(3)あるいは四つの操作 : 一数学者のある過去についての省察と証言』,[辻雄一],[1998]. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13059516 (参照 2024-02-10) 公開範囲は国立国会図書館…
最近いろいろとあって連続体濃度について考える必要が出てきたので,そういえば集合論者の人々はどう思っていたんだっけなと調べ直してみた. Cantor は $\aleph_1$,Gödel と初期の Woodin は $\aleph_2$,近年の Woodin は $\aleph_1$ と考えたらしい.要…
訳者序 本稿は Freudenthal, H; van der Waerden, B. L. (1947). “Over een bewering van Euclides” (“On an assertion of Euclid”), Simon Stevin, 25: 115–121 の日本語訳を 10 年留保によって公開したものである.本文中の訳注は亀甲括弧〔……〕に入れて提…
どうにも年を経るにつれて少しずつ思い出に綻びばかりが目立つようになるようなので、青春時代の良い思い出の大きな一つとして河合塾K会の数学科のカリキュラムを受講したときの感想でも書き記しておこうと思います。 www.kawai-juku.ac.jp 今は名称と現代数…
問題 以下は、Kurt Gödel が 1931 年に出版した論文 Über formal unentscheidbare Sätze der Principia mathematica und verwandter Systeme I の第三段落です(ただし、ゲーデル全集を底本としたうえで、いくつかの致命的な誤植を修正してあります)。下線…
少し前に曲率の説明をする機会があり,その際に次の問題を紹介しました.書いておかないとどうせ忘れるので,メモしておきます. 高速道路のカーブの設計を考える.この際,自動車の運転者にとって運転しやすい自然なカーブ形状が望ましい.そこで,自動車の…
数年前に友人が面白がっていた事実を久しぶりに発掘したのでメモしておきます: 1. $a$, $b$, $c$ を正の整数とするとき, $a$ と $b$ の最小公倍数と, $a+c$ と $b+c$ の最小公倍数は等しくないことを示せ. 第27回(2017年)JMO本選の問題 【基礎 1.7.11】(199…
問題 解答 旧解答 新解答との異同 a b c SLP & Evan Chen 別解 正体 雑感 問題 問題 2. $3$ 以上の整数 $n$ で, 次の条件をみたす $n+2$ 個の実数 $a_1, a_2, \dots, a_{n+2}$ が存在するものをすべて求めよ. $a _ {n+1}=a _ 1$, $a _ {n+2}=a _ 2$ $i=1,2,\…
はじめに この記事では Evan Chen 氏による Some Notes on Constructing Diagrams の §6 Computer-Generated Figures にある内容を、いくつかの補足を加えつつ日本語圏の中高生を想定読者として紹介します。 なお、TikZ を用いた作図も可能であり、たとえば …
獲得金メダル! 国際数学オリンピック メダリストが教える解き方と技朝倉書店Amazon すでに出版社に報告はしたのですが、訂正が出される気配がないので記事にしてしまいます。 例 周の長さが $6$ の三角形の面積が $\sqrt{3}$ 以下であることを証明しよう. …
数学文章作法 推敲編 (ちくま学芸文庫)作者:結城浩筑摩書房Amazon 中一のときに上下巻のどちらも読んで参考になったのですが、最近また見返したくなったので読み直してみると、推敲編の pp. 63–64 に次のような記述がありました。 「それぞれ」は対応関係を…
科学哲学―なぜ科学が哲学の問題になるのか (現代哲学への招待 Basics)作者:アレックス ローゼンバーグ春秋社Amazon 巷では「科学哲学の学部教育のスタンダードと言っても差し支えない本」と(出典は不明だが自分の備忘録にそうメモ)されているローゼンバー…
本文 出版差止めの意向表明 アレクサンドル・グロタンディークより 私が著したどんな作品も文章も、そしてその翻訳すべても、紙媒体であれ電子媒体であれどんな形式であれ、全文であれ抜粋であれ、科学的であったり私的であったりする文章からのものであれ、…
all-for-nothing.com 上の記事に書き忘れたこととして、『収穫と蒔いた種と』の第二部に「円積問題」という良い話が載っていることがありました。辻氏の訳には少し不明瞭な部分があるので、これも拙訳ですが紹介しておきます。 no 69(四月二十七日)十一、…
訳者序 私がまだ高校一年生だったとき, 当時は中学生を担当していた私の恩師が, 道の数え上げに $q$ 二項係数が現れることを解説する課外授業を行うという告知を掲示板に貼っていたのを最近ふと思い出した. 老獪になった頭で久しぶりに色々考えて調べてみる…
tetobourbaki.hatenablog.com id:tetobourbaki 氏のこの記事における主張を要約して注釈をつけておきます。 holomorphic はギリシア語の holos「全体」と morphe「形」からなる造語である。高木貞治『解析概論』によると、「正則関数」は holomorphic functi…
www.ndl.go.jp まだ始まってはいませんがやっと読めるようになったので、今のうちに全部まとめておきます。少し古めのフランス語圏の数学書や論文を読むと、すぐにブルバキを参照する必要が出てくるので本当に助かります。読むには「個人の登録利用者」の登…
「円周角の定理」と呼ばれる主張には $\forall P.\ \angle{AOB}=2\angle{APB}$ $\forall P\forall Q.\ \angle{APB}=\angle{AQB}$ の二通りがあって, 2 は 1 の系なので本質的には 1 が効いているわけですが, 「円周角」の well-defined 性を保証するという観…
今日ふと思い出しました.私の記憶違いでなければ,学部学生1年目に受けた◯先生(敢えて伏せ字)のある線形代数の講義の期末試験の1問目は,「1+1=0となる有限環の元の個数は2の冪であることを示せ」といったような感じの内容でした.なんとなく「お…
訳者序 2019-11-23 に「位相空間論による素数の無限性証明」という記事を書いたことがある*1のですが, 機会があって改めて見直してみるとやはり書き直す必要があることに気付いたので, せっかくですから10 年留保を使って Furstenberg, H. (1955). On the In…
『獲得』*1の p. 113 には 集合 $\lbrace ti\mid t\in\R\rbrace$ を $\R i$ と表記しています. 以下同じ記号を断りなく用います. という注意があります. 私がこの記法に初めて出会ったのはたしか中三か高一かのときで, それはある友人が複素座標を解説する教…
そのi鋭角の一方が $\theta$ である直角三角形i*1はすべて相似なので, 斜辺・対辺・隣辺のうち二つの辺の比は $\theta$ の関数として well-defined であり, その選び方は ${} _ {3}\mathrm{P} _ {2}=6$ 通りで $\sin$, $\cos$, $\tan$ の他に $\sec$, $\cose…
代数幾何学原論 A. GROTHENDIECK J. DIEUDONNÉ との共同執筆 序文 Oscar Zariski と André Weil へ 本論文とそれに続く多くの論文は, 代数幾何学の基礎に関する概論となることを意図している. 原則としてこの分野に関する特別な知識を何ら前提にせず, またそ…
卑近な例 逆像が像より自然な概念であるという話をしようとすると、多くの人は受験数学の悪しき業界用語「順像法・逆像法」に関する話だと受け止めてしまうようなので、少しだけ啓蒙的な話をしてみましょう。 写像 $f\colon X\to Y$ による $A\subset X$ の…
数年前に見た 2ch のスレを思い出しました。 viper.2ch.sc 現代数学のメインストリームたる代数幾何学の名著、ハーツホーンの定理 2.7.6 が話題になっています。 $X$ を Noether 環 $A$ 上の有限型のスキームとし, $\mathscr{L}$ を $X$ 上の可逆層とする. …
高校一年の頃に執筆したポエムが発掘されたので, 本ブログで供養することにしました. 改めて見てみると稚拙な部分が多く見受けられますが, 今の筆者の興味が急速に SGA1 に向かっていることを考えると, 本稿に自分の原点を見出せるように思えます. 概要 Pyth…
誰も書いている人がいないような気がしたので書いておきます. 定理. (中間値の定理の離散版) 整数 $a$, $b$ が $a 証明. 集合 $S\coloneqq \lbrace x \in \mathbf{Z} \cap [a, b] \mid f(x) 双対として $T\coloneqq \lbrace x \in \mathbf{Z} \cap [a, b] \m…
概要 無限降下法 解の公式 導出 1:平方完成 導出 2:対称性 感想 概要 【MathPower2017】 07_講演「ABC予想と新しい数学」 今でも 2017 年当時リアルタイムで視聴したときのことを思い出せます。あれからもう四年も経ったわけですが、個人的にはまだ四年し…
3.1. 層についての一般論 3.1. 層についての一般論 $X$ を (必ずしも分離的とは限らない) 位相空間とする. $\supset$ により順序付けられた $X$ の空でない開部分集合上に定義される集合の帰納系すべてを $X$ 上の集合の前層と呼ぶことを思い出そう (1.7 例 …