医学

医学の要旨

ドイツ語は(今ちょうど近くに Hamburger Ausgabe を借りれそうな場所がないので)Project Gutenberg を、日本語訳は青空文庫の森鷗外訳を底本にし、訳注として高橋義孝『ファウスト集注 ゲーテ『ファウスト』第一部・第二部注解』と新潮文庫をメモしておい…

ヤスパース『精神病理学総論』が全巻オンラインで読めるようになる

all-for-nothing.com やランダウ・リフシッツに引き続き、古典的な名著がまたもや読めるようになるようです。 www.ndl.go.jp 上巻: https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2424097 中巻: https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2425175 下巻: https://dl.ndl.g…

漢数字と算用数字との誤用と混乱

前に日本語同好会で藤田浄秀, 座間正和. (2019). 漢数字と算用数字との誤用と混乱 -医学分野の論文・学術書における危機-. 横浜医学. 70(1), 83–92.について議論したので、思ったことをメモしておきます。 数詞には、順序を表す序数詞と、数量を表す基数詞…

読書録:『生物学の哲学入門』『精神医学の科学哲学』

生物学の哲学入門作者:良太, 森元,泉吏, 田中勁草書房Amazon 精神医学の科学哲学作者:レイチェル・クーパー名古屋大学出版会Amazon 感想 どちらも図書館で借りて延滞せずに読めそうなトピックと厚さだと思ったので、ささっと読んでしまった(本業がそろそろ…

読書録:「ギフティッドの居場所をつくる―その理解と受容から」

昔は「ギフテッドなんて胡散臭い非科学的なレッテルは廃止すべきだ」という態度を大して調べもせずに取っていたのですが、これを読んで今までの立場を全て撤回する必要があることを痛感しました。 haruaki.shunjusha.co.jp 何が胡散臭く感じられたかというと…

WAIS-IVを受けてきた

はじめに 「自分探し」は死語です。少なくとも10代でこの語を本気で使っている人は今まで見たことがありません。では若者が自らのアイデンティティを探すことを止めたかというと、もちろんそんなわけがなく、前よりも複雑で分かりにくい形態で「自分探し」が…

読書録:『自分の「異常性」に気づかない人たち』

自分の「異常性」に気づかない人たち 病識と否認の心理作者:西多 昌規草思社Amazon ようやく “ガチ” の精神科の現場を垣間見ることができるような本を発見しました。対象読者は広範にわたっているものの、著者は特に「医療福祉系の学部を志望している若者」…

読書録:『自分を傷つけずにはいられない』

自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント作者:松本俊彦講談社Amazon 図書館でふと手に取った本でしたが、またまた名著を引き当ててしまいました。 刃物で自分の身体を傷つけるという方法による自傷(「切る」タイプの自傷)だけを取り上…

読書録:『居るのはつらいよ』

居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく)作者:東畑 開人医学書院Amazon この本が出たのは2019年2月で当時から非常に話題になっていたことをいまだに覚えています。そして数日前まで買いそびれ続けていたのですが、ついに(…

「精神病は脳病である」?

ドイツの神経・精神医学者グリージンガー Griesinger は「精神病は脳病である」という言葉で有名ですが、本当にそう言ったのか検証することにしました。Griesinger, W. (1845). Die Pathologie und Therapie der psychischen Krankheiten. Krabbe. の冒頭で…

「思考吹入と所有者性」

経緯 昨日から、東京大学出版会から出ている「シリーズ精神医学の哲学」を息抜きに読んでいます。まだ第一巻『精神医学の科学と哲学』を読み始めたところなのですが、第二章「思考吹入と所有者性」で頭を悩ませた部分があったのでメモしておきます。 要約 こ…

読書録:『標準精神医学 第8版』

標準精神医学 第8版 (STANDARD TEXTBOOK)作者:尾崎 紀夫医学書院Amazon 実質2日ぐらいで読んでしまったので、これはラノベと言ってよいと思います。各論は概ね知っていたことを DSM-5 に沿って説明しているだけなので早く読めたというのもありますが、総論も…