なぞなぞの言語学

小学生の頃に「なぞなぞほど下らないものはないからすべてパターン化して価値を消し去りたいな」と思っていたのですが、最近調べてみると言語学的な研究があるようです。今度暇な時に調べてみたいので、ひとまずメモしておきます。

まずは『言語学大辞典』「なぞなぞ」の分類:

    1. 隠喩型 (metaphorical riddle): Two rows of white horses on a red hill. Guess what. (Teeth)
    2. 矛盾型 (oppositional riddle): What turns and never moves? (A road)
  1. 恣意的分類型 (arbitrary classification riddle): 外は白壁、中はどろどろ、なあに(卵)
    1. 誘導型 (false Gestalt riddle): 中は潤っていて、周りに毛の生えているもの、なあに(目)
    2. パロディ型 (riddle parody): ヒヨコが道路を横切りました、なぜでしょう(向こうに渡りたかったから)

普通はなぞなぞの類型論で取り上げられることは少ないが,日本の寄席芸にみられる「ものは付け」「三段なぞ〔引用者注:ねづっち氏の「なぞかけ」と同じ〕」も,なぞなぞの特殊形式のひとつである.そこでは関係する項が2つに増え,恣意的に選ばれた二項の間に共通項を発見することが解答をなしている.通常のなぞなぞが,機知や方略を競う遊びではなく特殊な知識——つまり当のなぞなぞと種明かし——を所有する側が,多くの場合順ぐりに,その場限りの権威を握るいわば役割遊戯であるのに対して,三段なぞのほうは答えの性質も数も不定であり,複数の解答者がより機知に富んだ,独創的な答えをめざして競い合うことができる.……答えのないなぞなぞというのは矛盾して聞こえるが,禅の公案のように,言語の機制そのものの否定を引き出すためにこの形式が利用されることもある.

面白いですね。参考文献として、次の二つが挙げられていました。

  1. Georges, R. A., & Dundes, A. (1963). Toward a Structural Definition of the Riddle. The Journal of American Folklore, 76(300), 111–118. https://doi.org/10.2307/538610
  2. Sutton-Smith, B. (1976). 5. A Developmental Structural Account of Riddles. In B. Kirshenblatt-Gimblett (Ed.), Speech Play: Research and Resources for the Study of Linguistic Creativity (pp. 111-120). Philadelphia: University of Pennsylvania Press. https://doi.org/10.9783/9781512803150-007

もっと面白そうなのは、安原和也氏による認知言語学的ななぞなぞの研究です。インターネット上で閲覧できる論文は「認知言語学となぞなぞ研究―Riddlerの認知プロセスを探る―」しか見当たりませんでしたが、他にも色々な考察が発表されているようです。