電磁場中における質量 $m$, 電荷 $q$ の荷電粒子の運動を考察する. 断りのない限り, $q$ は正負いずれの値も取りうるものとする. 磁束密度 $\vec{B}$ は, 時間的に変化することはないとする. また, 磁束密度 $\vec{B}$ の向きは, 図1のように紙面の裏から表の向きであり, この向きを $z$ 軸の正の向きとし, 荷電粒子は $xy$ 平面内を運動するものとする. なお, 荷電粒子は真空中を運動するものとし, また, 重力の影響は無視できるものとする.
〔A〕磁束密度の大きさ $B_0$ の一様な磁場中で, 荷電粒子が速さ $v_0$ で $xy$ 平面上の等速円運動を行なっているとする. なお, 設問〔A〕では, 電場はかかっていないものとする. 以下の問に答えよ.
(a) 円運動の半径 $r_0$ を, $m$, $|q|$, $B_0$, $v_0$ のうち必要なものを用いて表せ.
(b) 荷電粒子の速度の $x$, $y$ 成分をそれぞれ $v_x$, $v_y$ とし, 荷電粒子が受ける力の $x$, $y$ 成分をそれぞれ $F_x$, $F_y$ とする. $F_x$ および $F_y$ を, $q$, $|q|$, $B_0$, $v_x$, $v_y$ のうち必要なものを用いてそれぞれ表せ.
〔B〕次に, 磁束密度の向きは $z$ 軸の正の向きのまま, $y\geqq0$ では磁束密度の大きさが $B_0$, $y<0$ では磁束密度の大きさが $2B_0$ であるとする. なお, 設問〔B〕でも, 電場はかかっていないものとする.
時刻 $t=0$ において, 荷電粒子が原点 $\text{O}$ を $y$ 軸の正の向きに速さ $v_1$ で通過した. $n$ を正の整数として, 荷電粒子が $t>0$ で $n$ 回目に $x$ 軸を横切る時刻 (すなわち $y$ 座標がゼロとなる時刻) を $t_n$, その時の $x$ 座標を $x_n$ と書くことにする. 以下の問に答えよ.
(c) $m$, $q$, $|q|$, $v_1$, $B_0$ のうち必要なものを用いて, $t_1$, $t_2$, $x_1$ および $x_2$ を表せ.
- $t_1=\boxed{\pi\dfrac{m}{|q|B_0}}$
- $t_2=t_1+\pi\dfrac{m}{2|q|B_0}=\boxed{\dfrac{3}{2}\pi\dfrac{m}{|q|B_0}}$
- $x_1=\boxed{\dfrac{2mv_1}{qB_0}}$
- $x_2=x_1-\dfrac{2mv_1}{2qB_0}=\boxed{\dfrac{mv_1}{qB_0}}$
(d) 荷電粒子の $y$ 座標のとりうる最大値および最小値を, $m$, $v_1$, $q$, $|q|$, $B_0$ のうち必要なものを用いて表せ. さらに, 解答欄のグラフに, $q>0$ の場合の $0\leqq t\leqq t_1$ の間の荷電粒子の軌跡 (半円) が記されている. これにひきつづき, $t_1<t\leqq t_5$ の間の荷電粒子の軌跡の概形を解答欄のグラフに描き加えよ.
〔C〕次に, $z$ 軸の正の向きの磁場に加えて, 電場もある場合を考える. 設問〔C〕では, 磁束密度は一様で大きさ $B_0$ とする. 他方, 電場は $y$ 軸の正の向きを向いており, 一様で大きさ $E_0$ とする. 時刻 $t=0$ において, 荷電粒子は原点 $\text{O}$ に静止しているとする. ここで, 時刻 $t$ における荷電粒子の速度の $x$, $y$ 成分を, それぞれ $v_x$, $v_y$ と表すこととする. 以下の問に答えよ.
(e) 時刻 $t$ において, 荷電粒子が受ける力の $x$, $y$ 成分をそれぞれ $F_x'$, $F_y'$ とする. $F_x'$ および $F_y'$ を, $q$, $|q|$, $v_x$, $v_y$, $E_0$, $B_0$ のうち必要なものを用いてそれぞれ表せ.
(f) ある速さ $v_2$ で $x$ 軸の正の向きに等速度運動する観測者から見た場合には, 荷電粒子の運動が等速円運動に見える. $m$, $q$, $|q|$, $E_0$ および $B_0$ のうち必要なものを用いて $v_2$ を表せ.
(g) $q>0$ の場合と $q<0$ の場合のそれぞれにつき, 時刻 $t=0$ からしばらくの間の, 静止した観測者から見た荷電粒子の軌跡の概形として, もっともふさわしいものを, 図2の選択肢①〜⑩からそれぞれ1つずつ選べ.
(h) $q>0$ の場合を考える. 荷電粒子の $y$ 座標のとりうる最大値は $y _ {\text{max}}$ は, (f) で求めた $v_2$ を用いて下記のようになる. 空欄 $\boxed{(ア)}$ に当てはまる数式を $m$, $q$, $E_0$, $B_0$ のうち必要なものを用いて表せ. $$y _ {\text{max}}=\boxed{(ア)}\times v_2$$ また, 静止した観測者から見た場合に, $t>0$ において最初に $y=0$ となるときの $x$ 座標の絶対値 $x _ {\text{C}}$ は, 下記のように $y _ {\text{max}}$ の定数倍となっている. 空欄 $\boxed{(イ)}$ を埋めよ. $$x _ {\text{C}}=\boxed{(イ)}\times y _ {\text{max}}$$
(i) 引き続き $q>0$ の場合を考える. 静止した観測者から見た場合に, 時刻 $t=0$ からしばらくの間の荷電粒子の運動エネルギーの変化の様子としてもっともふさわしいものを, 図3の選択肢①〜④から選べ. ただし, 図3の横軸にある $T_1$ は, 荷電粒子の $y$ 座標が $t>0$ で最初にゼロとなる時刻を表す. さらに, 図3に示した縦軸の運動エネルギー $K_1$ の値を $m$, $q$, $E_0$, $y_{\text{max}}$ のうち必要なものを用いて表せ. なお, 選択肢④では, 運動エネルギーは充分長い時間の経過ののち, $K_1$ に達するものとする.