『新・物理入門』の密かな改訂

密かな改訂

山本義隆『新・物理入門』は実は密かに改訂を行なっていたことをご存知でしょうか? このことは去年の夏に初めて気付いて仲間内で面白がって終わりだったのですが、どうやら誰も気付いていないようなのでトリビアとしてまとめておきます。

もしこの本をお持ちの方は、211ページをご覧ください。「アンペアの定義」という節があるはずですが、ご存知のように国際単位系 (SI) は2019年5月に改訂されたのでここだけ書き換えられているのです。

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旧版

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新版

この部分だけ行間が大きく不自然なのは、もしかして旧版までの組版のデータを直接イジることができなくなってしまったからなのでしょうか? 分かりませんが、どうせなら170ページの

今のところ重力波をたしかに捕らえたとみられる証拠はないが,大部分の物理学者はその存在を信じている.

も改訂してほしかったですねえ*1

追記

球対称質量分布の万有引力は内部の質量を中心に集中させた場合と一致するという有名な事実、力学の範囲で証明しようとするとメンドイ積分をしないといけないけど、普通に「Maxwell 方程式の Gauss の法則→Coulomb の法則≒万有引力の法則←有名事実」みたいに辿ればいいじゃんと思っている……(Newton’s shell theorem

*1:2017年のノーベル物理学賞は「LIGO検出器および重力波の観測への決定的な貢献」でした。