対称式の小ネタ

有理数 $a,b,c$ に対し, $a+b+c, 2(ab+bc+ca), 3abc$ が整数であったならば, $a,b,c$ は整数となることを示せ.

$\alpha=a+b+c, \beta=2(ab+bc+ca), \gamma=3abc$ とおく.

方程式 $6(x-a)(x-b)(x-c)=6x ^ 3-6\alpha x ^ 2+3\beta x-2\gamma=0$ の解 $a,b,c$ は有理数なので, 互いに素な整数 $p,q$ (ただし $p>0$ とする) を用いて $x=\dfrac{q}{p}$ とおける. このとき必ず $p=1$ であることを示せばよい.

$$6\left(\frac{q}{p}\right) ^ 3-6\alpha \left(\frac{q}{p}\right) ^ 2+3\beta \left(\frac{q}{p}\right)-2\gamma=0$$

$p\neq 0$ に注意して, $$6q ^ 3=p(6\alpha q ^ 2-3\beta pq+2\gamma p ^ 2).$$

$p$ と $q$ は互いに素なので $p\mid 6$ である.

$p=6$ のとき $q ^ 3=6(\alpha q ^ 2-3\beta q+12\gamma)$ より $6\mid q$ となるがこれは $p$ と $q$ は互いに素であることに矛盾する. $p=2,3$ のときも同様. よって $p=1$ である.