『TeXブック』の delimited parameter の誤訳

今年の三が日は shukutoiya と『$\TeX$ ブック』のゼミをしていましたが、得られた結論は「この本はまったく説明になっていない」でした。

はっきりいって、Knuthは、コンピュータ・サイエンティストとしてはセンス・ゼロ、要するに馬鹿である。それは、あのTeXという処理系を見ればわかる。いったい、世の中に、毎日TeXで泣かされ続けている人は何人いるのだろうか。あんなふざけた処理系で、これほど多くの人に使われているものは他にはない。あんなもの、学生が演習で作ってきたら、不可になるに決っている。とにかく機能だけを追及した処理系である。使い難い処理系がどれほど世の中の人的なリソースを無駄にするかということが、丸で分かっていないのである。将来、TeXは、現在のFORTRANのような存在になって、世の中に害毒を流し続けるであろう。

コンピュータ・サイエンティストとしてのセンスについては特に何もコメントしませんが……、$\TeX$ については(以下略

日本語訳も日本語訳であまり質の高いものではなく、たとえば第 20 章で A delimited parameter is followed in the ⟨parameter text⟩ by one or more non-parameter tokens が「〈パラメータテキスト〉の中で1つ以上のパラメータでないトークンに続き」と訳されていますが、これは中学生がよくやりがちな意味が真逆になった大誤訳です。An undelimited parameter is followed immediately in the ⟨parameter text⟩ by a parameter token, or it occurs at the very end of the parameter text; は「〈パラメータテキスト〉の中ですぐ後ろに続くパラメータトークンか、パラメータテキストの終わりまでが、区切られていないパラメータとする」となっており、これはそもそも日本語が崩壊してますが(何の後ろ?・何から何まで?)、一体何をどう考えたらこうなるのか見当もつきません。私はあまり誤訳云々と言いたくないのですが、①意味を真逆に捉えたものと、②日本語の統語が崩壊しているものの二つには、かなり厳しい感情が湧き上がってしまいます。ただし、原著がそもそもわかりにくいので、訳者を責める気にはあまりなりませんが!