位相空間論といえばブルバキですが、その定義は次のようなものです。
(OI) Toute réunion d’ensembles de $\mathfrak{O}$ est un ensemble de $\mathfrak{O}$.
(OII) Toute intersection finie d’ensembles de $\mathfrak{O}$ est un ensemble de $\mathfrak{O}$.
Les ensembles de $\mathfrak{O}$ sont appelés ensembles ouverts de la structure topologique définie par $\mathfrak{O}$ sur $X$.
ちなみに、一般的な教科書では他にも $\varnothing,X\in\mathfrak{O}$ を課すことが多いですが、ブルバキは次のような説明を与えていることに注意してください。
L’axiome (OI) implique en particulier que la réunion de la partie vide de $\mathfrak{O}$, c’est-à-dire l’ensemble vide (E, II, p. 22) appartient à $\mathfrak{O}$. L’axiome (OII) implique que l’intersection de la partie vide de $\mathfrak{O}$, c’est-à-dire l’ensemble $X$ (E, II, p. 23, déf. 3) appartient à $\mathfrak{O}$.
$X=\varnothing$ のときは $\mathfrak{O}=\lbrace\varnothing\rbrace$ という唯一の位相が定まるのですが、$X$ に「空でない」という条件を課す本が結構あるようです。そのメリットとしては
- コンパクト空間上の実数値連続関数に最大値が存在できる
- 位相空間のいくつかの直積がコンパクトなことと各々がコンパクトなことが同値になる
などがありますが、デメリットとしては
- 部分集合に誘導位相が入れられるとは限らない
- 直積空間が位相空間であるかないかが選択公理に依存する
- $\mathrm{Spec}(0)=\varnothing$ が位相空間ではなくなる(零環を環としない流儀の人は知りません)
などがあります。
この流儀だと、空集合は $0$ 個の連結成分の和ですが連結ではなく弧状連結でもなく、また「$X$ が連結である」と「$\mathrm{Top}(X,-)\colon\mathbf{Top}\to\mathbf{Set}$ が(任意個の)直和を保つ」が同値になります。