読書録:大塚淳『統計学を哲学する』

統計学を哲学する

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非常に良い読書体験だった。ここ最近で読んだ本の中ではかなり面白い部類に入ったのはもちろん、かなり勉強になった部類にも入った。ただ、いくつかのメモをしておこう……と思ったのだが、読了後に色々と調べてみると詳細な書評が多く見つかったので、私は特に書くことがなくなってしまった。

doi.org

上の書評が最も詳しいものになっているが、次の二つは簡潔でわかりやすいものになっている。

www.yomiuri.co.jp

note.com

追記. p. 21 の脚注には注意を要します。

この用語〔確率モデル〕には注意を要する。一般に確率論において、確率モデルとは標本空間、その上の代数、および測度関数の三つ組として定義され、本書もこの用法を踏襲している。しかし統計学においてはこれを「真なる分布」と呼び、このさらなるモデルである統計モデル(後述)を「確率モデル」と呼ぶ流儀も一般的である。しかしより根本的に考えれば、そもそも対象が何らかの確率分布によって表されるという想定自体が既に対象の確率論的なモデル化を含んでいる(自然の斉一性は我々のモデルでしかない)ため、本書は前者の慣習に従うことにする。この場合後述するように、確率モデルと統計モデルを区別することが肝要である。