問題1. (2012年慶医第4問・一部省略) (1) $0\leqq\alpha<\beta\leqq\dfrac{\pi}{2}$ かつ $R>0$ とする. 極座標 $(r,\theta)$ に関する条件 $$0\leqq r\leqq R,\ \alpha\leqq\theta\leqq\beta$$ により定まる図形を $x$ 軸のまわりに回転させて得られる立体の体積を $T$ とする. $T$ を $\alpha$, $\beta$, $R$ を用いた式で表すと $$T=\boxed{\text{(あ)}}$$ である.
(2) 極方程式 $r=f(\theta)$ $(0\leqq\theta\leqq\alpha)$ で表される曲線 $C$ と, $\theta=\alpha$ で表される直線 $l$ および $x$ 軸の正の部分で囲まれた図形を $S$ とする. ただし $0<\alpha<\dfrac{\pi}{2}$ とし, 関数 $f(\theta)$ は連続かつ $f(\theta)>0$ をみたし, $0\leqq\theta\leqq\alpha$ において増加または減少または定数とする.
$S$ を $x$ 軸のまわりに回転させて得られる立体の体積を $V(\alpha)$ とすると $$\frac{d}{d\alpha}V(\alpha)=\boxed{\text{(い)}}$$ であり, したがって $$V(\alpha)=\boxed{\text{(う)}}$$ である. (後略)
(2) 極方程式 $r=f(\theta)$ $(0\leqq\theta\leqq\alpha)$ で表される曲線 $C$ と, $\theta=\alpha$ で表される直線 $l$ および $x$ 軸の正の部分で囲まれた図形を $S$ とする. ただし $0<\alpha<\dfrac{\pi}{2}$ とし, 関数 $f(\theta)$ は連続かつ $f(\theta)>0$ をみたし, $0\leqq\theta\leqq\alpha$ において増加または減少または定数とする.
$S$ を $x$ 軸のまわりに回転させて得られる立体の体積を $V(\alpha)$ とすると $$\frac{d}{d\alpha}V(\alpha)=\boxed{\text{(い)}}$$ であり, したがって $$V(\alpha)=\boxed{\text{(う)}}$$ である. (後略)
解答. (1) 与えられた条件によって定まる図形は斜線部の通りである. $$\begin{aligned} T &= \pi\int_{0}^{R\cos\beta}\tan^2\beta\cdot x^2\ dx+\pi\int_{R\cos\beta}^{R\cos\alpha}(\sqrt{R^2-x^2})^2\ dx-\pi\int_{0}^{R\cos\alpha}\tan^2\alpha\cdot x^2\ dx\\ &=\cdots\\ &= \boxed{\frac{2}{3}\pi R^3(\cos\alpha-\cos\beta)}\,. \end{aligned}$$ (2) $$\begin{aligned} \dfrac{d}{d\alpha}V(\alpha) &=V'(\alpha)\\ &=\lim_{\beta\to\alpha}\dfrac{V(\beta)-V(\alpha)}{\beta-\alpha}\\ &=\lim_{\beta\to\alpha}\dfrac{\frac{2}{3}\pi f(\alpha)^3(\cos\alpha-\cos\beta)}{\beta-\alpha}\\ &=\boxed{\frac{2}{3}\pi f(\alpha)^3\sin\alpha}\,. \end{aligned}$$ ただし, 3行目で (1) の結果と $f$ の連続性を用い, 4行目で微分係数の定義を用いた. ここで $V(0)=0$ に注意すると次を得る: $$\begin{aligned} V(\theta)&=\int_{0}^{\alpha}V'(\theta)\ d\theta\\ &=\boxed{\frac{2}{3}\pi\int_{0}^{\alpha}f(\theta)^3\sin\theta\ d\theta}\,. \end{aligned}$$
より一般に, 問題のように適切な条件が課された上で, $\theta=\alpha$, $\theta=\beta$, $r=r(\theta)$ で囲まれた図形を始線のまわりに回転させてできる立体の体積は $$\dfrac{2}{3}\pi\displaystyle\int _ {\alpha} ^ {\beta} r(\theta) ^ 3\sin\theta\ d\theta$$ と表されることが知られている.
問題3. (2009年京大理系第5問) $xy$ 平面上で原点を極, $x$ 軸の正の部分を始線とする極座標に関して, 極方程式 $$r=2+\cos\theta\ (0\leqq \theta\leqq\pi)$$ により表される曲線を $C$ とする. $C$ と $x$ 軸とで囲まれた図形を $x$ 軸のまわりに $1$ 回転して得られる立体の体積を求めよ.
注. このように $r=a\cos\theta+b$ のような極方程式で表される曲線をリマソン (パスカルの蝸牛形) と呼ぶ.
解答. $$\begin{aligned}V&=\frac{2}{3}\pi\int_0^{\pi}r^3\sin\theta\ d\theta\\&=\frac{2}{3}\pi\int_0^{\pi}(2+\cos\theta)^3\sin\theta\ d\theta\\&\overset{u=2+\cos\theta}{=}\frac{2}{3}\pi\int_3^1 u^3(-du)\\&=\boxed{\frac{40}{3}\pi}\,.\end{aligned}$$
問題4. (2017年東大理系第6問) 点 $O$ を原点とする座標空間内で,一辺の長さが $1$ の正三角形 $OPQ$ を動かす. また, 点 $A(1,0,0)$ に対して, $\angle{AOP}$ を $\theta$ とおく. ただし $0^{\circ}\leqq\theta\leqq180^{\circ}$ とする.
(1) 点 $Q$ が $(0,0,1)$ にあるとき, 点 $P$ の $x$ 座標がとりうる値の範囲と, $\theta$ がとりうる値の範囲を求めよ.
(2) 点 $Q$ が平面 $x=0$ 上を動くとき, 辺 $OP$ が通過しうる範囲を $K$ とする. $K$ の体積を求めよ.
(1) 点 $Q$ が $(0,0,1)$ にあるとき, 点 $P$ の $x$ 座標がとりうる値の範囲と, $\theta$ がとりうる値の範囲を求めよ.
(2) 点 $Q$ が平面 $x=0$ 上を動くとき, 辺 $OP$ が通過しうる範囲を $K$ とする. $K$ の体積を求めよ.
解答. (1) 点 $P$ の座標を $(x,y,z)$ とおくと $$x^2+y^2=\dfrac{3}{4},\ z=\dfrac{1}{2}$$ より $\boxed{-\dfrac{\sqrt{3}}{2}\leqq x\leqq\dfrac{\sqrt{3}}{2}}$ である. また, $$\cos\theta=\dfrac{\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OP}}{|\overrightarrow{OA}||\overrightarrow{OP}|}=x$$ より $\boxed{\dfrac{\pi}{6}\leqq\theta\leqq\dfrac{5\pi}{6}}$ である.
(2) $K$ は図の斜線部を $x$ 軸を中心に回転させたものである. 極方程式は $r=1$ であるから, $$V=\frac{2}{3}\pi\int_{\pi/6}^{5\pi/6}1^3\sin\theta\ d\theta=\boxed{\frac{2\sqrt{3}}{3}\pi}\,.$$
(2) $K$ は図の斜線部を $x$ 軸を中心に回転させたものである. 極方程式は $r=1$ であるから, $$V=\frac{2}{3}\pi\int_{\pi/6}^{5\pi/6}1^3\sin\theta\ d\theta=\boxed{\frac{2\sqrt{3}}{3}\pi}\,.$$