2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ブルバキ『数学原論』が全巻オンラインで読めるようになる

www.ndl.go.jp まだ始まってはいませんがやっと読めるようになったので、今のうちに全部まとめておきます。少し古めのフランス語圏の数学書や論文を読むと、すぐにブルバキを参照する必要が出てくるので本当に助かります。読むには「個人の登録利用者」の登…

読書録:秋葉忠利『数学書として憲法を読む』

数学書として憲法を読む: 前広島市長の憲法・天皇論作者:忠利, 秋葉法政大学出版局Amazon 経緯 Twitter で話題になっていたので早速図書館で借りてきて読んでみた。 ミルナー門下のトポロジストで元広島市長の秋葉忠利氏、こんな本も書いていたんですね。 ht…

読書録:木村大治『括弧の意味論』

括弧の意味論作者:木村大治NTT出版Amazon 図書館でふと見つけたので読んでみた。第一部は読んでいて普通に面白いが、第二部は「超越論的なんちゃってビリティ」に関する議論と、次に挙げる類型とその説明(これらはバラバラの位置に置かれているのでここ…

球周角の定理は成り立たない

「円周角の定理」と呼ばれる主張には $\forall P.\ \angle{AOB}=2\angle{APB}$ $\forall P\forall Q.\ \angle{APB}=\angle{AQB}$ の二通りがあって, 2 は 1 の系なので本質的には 1 が効いているわけですが, 「円周角」の well-defined 性を保証するという観…

There was a farmer (who) had a dog: 主格の関係代名詞は省略できるか?

「ビンゴの歌」という海外の童謡は日本でも有名ですが、その歌詞を調べると基本的には次のようなものが出てくると思います。 There was a farmer had a dog, and Bingo was his name-o. B-I-N-G-O B-I-N-G-O B-I-N-G-O And Bingo was his name-o. この There…

標数2の有限環の元の個数

今日ふと思い出しました.私の記憶違いでなければ,学部学生1年目に受けた◯先生(敢えて伏せ字)のある線形代数の講義の期末試験の1問目は,「1+1=0となる有限環の元の個数は2の冪であることを示せ」といったような感じの内容でした.なんとなく「お…

読書録:団藤重光『法学の基礎 第2版』

法学の基礎 第2版作者:団藤 重光有斐閣Amazon 少し前に刑法を勉強しておきたいなあと友人に言ってみると団藤重光『法学の基礎 第2版』を薦められたので、わずかばかりに出来た暇を使って読んでみることにした。その少し前に立ち読みしたときに非常に面白そう…

Furstenberg「素数の無限性について」

訳者序 2019-11-23 に「位相空間論による素数の無限性証明」という記事を書いたことがある*1のですが, 機会があって改めて見直してみるとやはり書き直す必要があることに気付いたので, せっかくですから10 年留保を使って Furstenberg, H. (1955). On the In…

漢数字と算用数字との誤用と混乱

前に日本語同好会で藤田浄秀, 座間正和. (2019). 漢数字と算用数字との誤用と混乱 -医学分野の論文・学術書における危機-. 横浜医学. 70(1), 83–92.について議論したので、思ったことをメモしておきます。 数詞には、順序を表す序数詞と、数量を表す基数詞…

純虚数の集合を表す記号

『獲得』*1の p. 113 には 集合 $\lbrace ti\mid t\in\R\rbrace$ を $\R i$ と表記しています. 以下同じ記号を断りなく用います. という注意があります. 私がこの記法に初めて出会ったのはたしか中三か高一かのときで, それはある友人が複素座標を解説する教…